すべての子どもたちに、文化・芸術を届けよう。
江戸川子ども劇場では、文化庁「文化芸術による子供育成総合事業」のコーディネーターとして、江戸川区立の小中学校等と芸術家のマッチングを行ない、子どもたちへ文化・芸術を届ける「コーディネート事業」を行なっています。
この事業は、子どもたちの豊かな創造力・想像力や思考力、コミュニケーション能力などを養うとともに、優れた文化芸術の創造につなげることを目的としています。
自己紹介の後、青山さんから質問。「演劇は、英語で何と言いますか?」
ドラマ、パフォーマンス、シアター、ミュージカル、ミュージアム、子どもたちから次々と回答し、その一つ一つに丁寧にツッコミを入れて返します。この大喜利のようなやり取りで、既に子どもたちの信頼を勝ち得ていたように見えました。
正解はプレイ。「英語の "play" は、楽しいことをする時に使います。Let's play dance! とは言いますが、Let's play 手術! とは言いません。また、プレイには "遊ぶ" という意味もあります。今日は2時間、たっぷりと遊びましょう!」
まずは立ち上がって、その場ダッシュをします。ここで青山さんが「樽が転がってきたぞー。皆ジャンプでよけてねー。たるー!」と言うと、前からウェーブのようにジャンプしていきます。横から見ていると、まるで樽が見えるかのように、そして昔のゲーム「ドンキーコング」を思い出しました。
さらに、コマンドが増えます。「枝が来たら、しゃがんでよけてください。たるー!」と言うと、しゃがむ子続出(笑)。最初は枝が来ると思うよね。青山さんの「たるー!えだー!」に合わせて、ダッシュしながら、飛んだり、しゃがんだり、忙しくなってきました。
次は、コマンドを子どもたちが自ら考えます。挙手制により「隕石」が追加されました。「隕石」のアクションを募集した結果、左右によけることになりました。
さらにコマンドを追加。次は「休憩」となり、アクションは「寝そべる」です。
4つのコマンドが入り乱れて、いいウォーミングアップになったようです。ダッシュの途中で寝そべるなんて、子どもたちの発想が面白いです。「実際にそこに無いものをみんなが共通で感じて、それに対する動きを取る時点で、実はもう演劇的な表現の入り口なのかも」と、見ていて思いました。
次は、白線に一列に並び「だるまさんがころんだ」開催!
最初は普通ルール。オニの青山さんに「動いた!」と言われたら、白線まで戻ります。誰かがオニにタッチできたら、リセットされて全員が白線まで戻り、徐々にルールが変わっていきます。
最初のアレンジは、「オニが声を出さない」です。オニがどのくらいのスピードで言っていて、いつ振り返るのかを、観察から読み取るのです。演劇は相手あってのことですので、これもきっと、演劇の訓練に違いない!と推測するものの、子どもたちはスリル感が増して、さらに楽しそう(笑)
次のアレンジは、「オニが言った "モノ" になって止まらなければならない」です。「とけい!」と言われれば、両手で長針と短針を表現したり。
「フライパン!」の時に、青山さんが「フライパンを持って料理している人は、フライパンそのものではなく人になっているのでアウト!」と言って、半分くらいの子が白線まで戻っていました(笑)
さらにルールが変化していきます。「2人組になって、傘を作る」「4人組になって、椅子を作る」「6人組になって、扇風機を作る」 グループで1つのモノを表現するのもまた、演劇的ですねー。
ここで、6人組の扇風機を1グループずつ発表してもらうことに。1つ目のグループに扇風機を再現してもらったところ、青山さんが唐突に「それでは、扇風機がどんなふうに回るのか、スイッチを入れてみましょう。スイッチ、オン!」
想定外のできごとに、動揺する6人。一瞬の間があったけど、機転を利かせて6人が揃って回り始めました! これには館内、拍手喝采! そして、自分たちの扇風機はどうやって回そうかと、各グループが一斉に議論し始めました。そうなるよねー。
全グループの扇風機の発表を見たところで、次のお題は「6人組になって、シンデレラが馬車に乗るところ」です。こちらも全グループの発表を見ましたが、表現の幅が広がって、とても興味深かったです。
ここからは8つのグループに分かれます。桃太郎と浦島太郎をそれぞれ4つのシーンに分けてあり、くじ引きでどのグループがどのシーンを担当するのか決めました。そのシーンを30分ほどかけて、各グループで創り上げます。通し稽古では、シーン間のつなぎを確認。最後はお互いの作品を鑑賞して、どんなところが良かったのか、コメントを述べ合いました。子どもたちには、きっとすごい達成感だったに違いありません!
印象に残っているのは、きびだんごが作られていく様と、桃太郎の意外なエンディング。ここまでのワークショップの流れがあるからこそ、子どもたちには演劇をやっているという感覚がほぼ無くて、遊びの延長として、とても自由な発想で表現を考えているように感じました。「いつもあまり話せない子とも、たくさん話せて良かった」という感想もありました。
11月の学習発表会に向けて、大きなステップを上がれたことと思います。青山さん、大西さん、楽しくて貴重な体験を、ありがとうございました!
終了後、青山さんと大西さんは、5年生の教室へ行き、子どもたちと一緒に給食を食べました。スタッフも別室でいただくことに。この日のメニューは
ごはん、ひじきのふりかけ
牛乳
むろあじとれんこんのつくね焼き
五目きんぴら
さといものみそ汁
でした。三十数年ぶりに給食を食べましたが、その美味しさに驚きでした!
参加者アンケートより
だるまさんがころんだがとても楽しかったです。最初はふつうのポーズでいたけれど、お題をだされたらきついポーズになってつらかったけど意外と楽しかったです。
他の人と何かを作るのがおもしろかったです。体を動かして楽しかった。
劇を作る時に、最初はけっこう悩んだけど、ためしにやっていくうちに、アイデアがたくさん出ておもしろかったです。
演劇って、自分達で作るととても楽しいんだなぁと思いました。
将来俳優もやってみたいと思いました。
友達との交流を深められていい2時間でした。
こんな短時間でこんなにすごいことが出来ると思わなかった。
みんなの個性的な発表や新しいストーリーが、とても楽しいと感じました。
桃太郎の最後、おじいちゃんが鬼をたおしておもしろかったです。
どんな劇にしようか、台本通りにやらなくていいから自由性が感じられた。また自由性から劇ができているんだな~って思った。ふだんやらない経験をできました。
演技によってみんなと心がつながったような気がして、演技ってすごいなと思いました。
自分もこんな演技ができるんだ~など、色々な発見がありました。
くーちゃんのつっこみがすごく面白くて、お腹が痛くなりました。
最初は不安だったけど、やっていたらどんどん楽しくなって、不安やはずかしい気持ちはふきとんでしまいました。最後の劇は、やるのも見るのも楽しかったです。すごく笑って楽しんだ2時間で、とても時間の流れが速く感じました。
劇をやっている時にみんなが笑ってくれたから嬉しかった。演技をして共感を得られて良かったです。
以下、江戸川子ども劇場が実施した、文化庁「文化芸術による子供育成総合事業」のコーディネート実績です。
2022年度:
和太鼓ワークショップ(清新第一小学校、4年生)
2021年度:
狂言ワークショップ(第六葛西小学校、5年生)
2019年度:
能ワークショップ(清新第一小学校、5年生)
能ワークショップ(第六葛西小学校、5年生)
和太鼓ワークショップ(西小岩小学校、5年生)
2018年度:
ゴスペル体験授業(第二葛西小学校、6年生)
落語体験授業(東小岩小学校、5年生)
2017年度:
落語体験授業(西小岩小学校、4年生)
日本舞踊ワークショップ(江戸川小学校、6年生)
2016年度:
雅楽ワークショップ(東小岩小学校、5年生)
2015年度:
雅楽ワークショップ(小岩小学校、5年生)
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