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[報告] 劇団前進座による歌舞伎ワークショップ

更新日:2023年10月7日


2020年3月8日(日)江戸川区スポーツセンター 剣道場にて、「ふれあいこどもまつり」アウトリーチ企画として、劇団前進座による歌舞伎ワークショップを開催しました。

講師としてお越しいただいたのは早瀬栄之丞さん、新村宗二郎さん、玉浦有之祐さんの3名です。


写真を使いながら歌舞伎の衣装や化粧などの説明をいただいた後、歌舞伎の立廻りを見せていただきました。木で作られている刀を使いますが、普通の演劇で見る荒々しい「殺陣(たて)」とは違い、緩やかで様式美を重んじます。200種類ほどの型の組み合わせで構成されており、「山形・唐臼・鬼とび・四つ目・味噌擂」と言った型の組み合わせの後、最後に見得を切ります。


実演後、型に分解して解説いただき、皆で四つ目と味噌擂に挑戦しました。


次は見得を体験。両手を広げ、「の」の字に首を回すのですが、人物にクローズアップさせるためのポイントは、目の動きです。目を閉じた状態で動き始め、「の」の頂点で目を見開き、最後は片目だけ目を寄せます。スゴい!


次は、女形(おんながた)について。宝塚歌劇団では女性が男性を演じますが、歌舞伎では男性が女性を演じます。女性が歌舞伎を演じることを江戸幕府が禁じたため、女形が登場したと言われています。

男性俳優のみという制約から、歌舞伎は新たな女性の表現を生み出しました。衣裳や化粧だけでなく、膝を曲げて身長を低く見せ、両膝を合わせた内股による歩き方や、肩甲骨を下げたなで肩の姿勢、心の動きを表す柔らかなしぐさなど、長年の積み重ねにより表現が洗練されました。

例えば、自分のことを指さす時の仕草が、世代で決まっています。子ども、母親、おばあちゃんの三世代の違いを実演いただきました。

会員さんが女形を体験したところ、姿勢を維持するだけでも大変で、日頃から演技の訓練をされていることを改めて感じたそうです。その様子に、子どもたちが大ウケでした。


次は、ツケによる表現について。ツケとは、「ツケ板」と呼ばれる板に四角柱の木を打ちつけて出される効果音のことを指します。石にぶつかった時、相手に殴られた時、立廻りの時、見得を切る時、駆け出す時、いろんな場面で舞台を盛り上げる効果があります。

ツケによる演出をより実感するために、駆け出す時にツケがある場合と無い場合の違いを見せていただきました。また、一人指名された子が石をぶつけられるという場面を演じ、動きと一体化したツケを打つ難しさを学びました。

さらに、盗人と岡っ引きによる十手を使った月夜の立廻りを実演いただき、ツケの効果を再認識しました。月明かりが雲に隠れると真っ暗になり、すぐ近くにいるのにお互いに気付いていない状態になるので、子どもたちは大笑いで楽しんでいました。


休憩をはさみ、後半は皆で立廻りの体験です。「山形・唐臼・鬼とび」を行ない、最後に見得を切ります。まずは個人で練習し、次に二人組になって、息を合わせます。

最初のうちは左右が逆になってぶつかっちゃう組もありましたが、徐々に慣れてきます。


最後は低学年女子、高学年男子、ママさんの3組が立候補し、立廻りの発表をしました。見ている人たちは、見得を切ったところで掛け声をかけて、発表を盛り上げました。


新型コロナウイルスの影響で、開催するかどうか理事会の中でも意見が分かれたのですが、子どもたちがずっと家に居てストレスを抱えているので、ぜひ開催して欲しいという会員の声が多く、「検温をする、アルコール消毒してから会場に入る、咳エチケットを守る」と言った対策を行なう約束で、開催することにしました。


ワークショップ終了後、子どもたちは鬼ごっこをしたり、ハンカチ落としをしたり、剣道場の中をとにかく走り回っていました。低学年から中学生まで、異年齢が一緒に遊べるのも、子ども劇場の魅力の一つです。


「ふれあいこどもまつり」の劇団前進座公演は残念ながら中止となりましたが、5月に国立劇場公演がございます。詳しくは劇団前進座ホームページをご確認ください。

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